植物身辺帳

植物身辺帳

種植えて新芽出て伸び葉が茂り蕾が出来てついに花咲く

たちまち雨たちまち晴れや今年竹

と、長谷川かな女の歌はこの梅雨の終わりの天のドラマを見事に歌い上げると思う。
一日のうちに思いっきり晴れ、思いっきり降り、ピタリと止んで雲間に夕の秋を含んだ空が現れる、そのような夏風による渾身の一幕。
こんな時期は恍惚とともに天空のはたらきを味わうのがよいようだ。

今週は竹に縁があるのか、竹の夏の勢いに打撃を喰らっていたところに、今日古道具屋にゆくと、ひとつの猪口を見つけた。
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大方よくある蕎麦猪口と同じくらいの背で、細身。竹林図の砥部焼
こういうスマートな造形というのはありそうでないことないですか。
素晴らしく丁度よい猪口です。
だいたいのところ骨董とかは別の世界なので、気に入るかどうかも身丈に合うかどうかというようなところ。
そしてないときは探してもないもので、それがなんのご縁か、今日ようやく逢坂の関を越えた具合にござりたぞ。

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好みと手の大きさと呑む具合によるけれど、私にとってひとつの完璧を示す丁度よい具合の持ち重り。
竹林図もあの竹の勢いを見た身からすると騒々しいが、それを括弧して観ると静かに控えていてよい。

細やかにして静かなる今年竹   草城

というのはだから括弧に入れた竹であって、現実の竹林図のダイナミクスが欠けている。
欠けていた方が平和でよい、という話もある。
私もそれを望む。が、しかし、 

としごとにおいそう竹のよよをへて
かわらぬいろをたれとかはみん

と、貫之が言うのが現実で、それをまたこう歌う時間感覚の悠久よの。まったく時代を越えて継がれる人の歌だけあって器がごつい。
さやさやとしておりながらまったくごぶしょうなもんよの。
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まあ、こうならいでか、ということで、
麦酒泡膨高 竹林増其洪
驟雨洗猪口 碧玉瑆於空
ちゅうようなもんよな。
よい器を見つけてこんばんはビールがよいよう、うまいもんですけん。